2009年7月6日月曜日

民主主義という不思議な仕組み(佐々木毅)



民主主義という「最も進化した政治体系」と一般に思われているものについての解説書です。作者はまたも東大の元総長ですが、若干難しかったかも。。というのも無理はなく、結局政治をどうするべきかについての答えがあるわけではなく、数値化もできなければ(歴史がある場合を除いて)具体化もほぼできないことだからです。

一般的な解釈としては、民主主義は「最も人々の理想とする社会を築いていける体制」と捉えられていますが、その是非を問う形となっている本です。結論からいえば、独裁国家でもなんでも上記の目標を達成するためのメリットやデメリットがあり、歴史的に見ると、民主主義が一応最もメリットのほうが大きいように見える、といった感じです。しかしそこには数多のデメリットも当然あって、それを最小化するための問題提起をしています。

最も印象に残った、というか前々から僕も考えていたことは、民主主義において「無能な大衆の台頭」が非常に危険というところです。大衆は圧倒的な指導者、目先の利益に弱い点を本書では指摘します。例えば、ヒットラーのように大衆を魅了する人物が現れたら皆そこに魅かれる事になります。現在は皆そういう事はないと主張しますが、例えばオバマ大統領は「政策の内容」よりも「演説での魅了度」で投票した人が(自覚か無自覚かにせよ)大勢なのではないでしょうか?また、日本でも世襲制度なんたらという意味不明の法案が審議されていましたが、あれも大衆は「親族の有名度やお金、アピール度」で政策の善し悪しを決めてしまうということから仕方なく出てきたものだと思われます。

上記のことを一例として、考えさせられることが多い本だと思います。これから世の中を作っていく側の人間になっていく大人として、考えるべき内容だとは思うので一読の価値ありです。
ただ、、国語の苦手な僕は半分くらいの文章を二度読みしています。国語のものすごい苦手な人はもう少し簡単な本から手をつけたほうが良いかも。。

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