2009年10月9日金曜日

サブウェイ123 激突(トニー・スコット監督)

サブウェイ123 激突 (小学館文庫)
飛行機の中で見た映画です。内容紹介には、「天才的な頭脳を持つ地下鉄ジャックの犯行グループ対交通局の役人というスリリングな映画」とあったので、狡猾な手の出し合いで楽しめるのではないか、と思って見てみました。

さて、実際に見てみると、、お世辞にも高度な頭脳戦が展開されているとはいえない内容でした。。不思議に思ってネットの紹介も見てみたのですが、特に飛行機の紹介文とは変わらない内容でした。この先の感想は、僕がずれているだけかも知れませんがお許しください。。

見ていて思ったのが、犯人グループは「狡猾」というよりはただただ「強引」なのです。人質をとって市長に金を請求する、要はそれだけです。車内の少年によって犯行中の隠し撮りはされるわ、地下から逃げた後はすぐさま全員捕まって殺されるわ、特にスリリングな部分はなしでした。

・・・と文句ばっかり言いましたが、僕の解釈では映画の伝えたい内容は別にあったように思うのです。そもそも犯人は初めから失敗するのを分かっていて犯行を行ったように見えるし(しきりに「死ぬ覚悟はある」と言っている)、人質を殺すのをものすごく嫌がっていました(「はぁ、、仕方がない。。」と言っています)。 設定として犯人達は、「元は社会人だったのに、たった1つの些細な犯行で社会からのけものにされた人間達」です。だからこそ犯人達の目的は、社会(市や交通局)に対して、「お前達の作り上げた社会はこんなにも理不尽なんだ!」と訴えることのみだったのではないでしょうか。実際、1000万ドルを1時間で用意しろと言った後に事故などで配達が遅れても、「そんなのそっちの問題で俺に言うことではない、何とかしろ」と強引に押し通します。これらも、個人の事情は社会の決め事の中では無視されるんだ、ということを言いたかったのではないでしょうか。

スリルな映画と表面上はしておいて、「人間と社会」について語られている映画なのではないかなぁと思いました。今でも犯人の言動を思い出すと切なくなってきます。